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TOKはIB生全員が必修となっている教科です。また、TOKの結果によってDiploma取得ができない場合もあるのでとても重要な教科になっています。TOKはかなり独特な教科なので、基礎を固めないと高得点は望めません。また自身の経験を踏まえてWOKやAOKといった基礎を分析しなければならないので、基礎を固める事が何よりも重要です。そこで本記事ではTOKの基礎的な部分のWOK(知識を得るための方法)とAOK(知識の領域)を一つ一つ紹介していきます。
WOKやAOKを使った分析方法はこちらで紹介しているので参照ください:
<IB生必見>TOKの分析方法を徹底解説!AOKやWOK分析方法を紹介!
IB(国際バカロレア) TOK(Theory of Knowledge)の学習内容や対策法、スコアアップのコツ紹介
Ways of Knowingとは、「知るための方法」です。TOKの大きなテーマ、「どうして私たちは知っているのか?(How do we know?)」を答えるにあたって、WOKは知識を獲得する過程を説明するのに用いる事ができます。WOKは知識の領域を分析する上で重要なので、理解を深めましょう。ここでは8つのWOKをご説明します
言語は人が意思疎通する際に用いる体系を指します。言語の形は文字、象徴、音声、ジェスチャー、画像など幅広く解釈することができます。言語を通して人が「知る」理由は言語に含まれた知識を獲得できることや物事を考えて知識を生成する際に言語を用いて考えることが挙げられます。「言語」を用いて物事を考えることから、「言語によって思考は決まる」という見方である言語決定論が発展しました。
例.)「鰻」という漢字には魚偏が入っているため、「鰻」は魚である。
「魚偏が入っている」という部分が知るための方法(言語)を用いた過程であり、「鰻は魚である」という部分はWOKを通して生成された知識になります。
理性は人が持つ合理性を指します。データや物事の前提を踏まえた上で、結論を導く際に使います。理性の手法として帰納法や演繹法が挙げられます。帰納法・演繹法からデータのパターンを導き出すことで「知る」ことができます。
例.)東京、神奈川、大阪の平均年収は全国の平均年収を上回ったことから、大都市の平均年収は高い。
演繹法を用いて、大都市とされる都道府県の平均年収が全国の平均演習を上回ったというパターンを導き出す過程が理性であり、結論の「大都市の平均年収は高い」は理性から生成された知識になります。
感情とは人が持つ喜怒哀楽などのことを指します。感情と理性は真逆なWOKと言われています。感情は普遍的という見方があるため、感情から生成される知識は普遍的であるという見方があります。社会的知識、倫理的知識、政治的知識を生成するにあたり感情が重要な役割を果たしていると言われています。
例.)暴力に対して怒りや悲しみを覚えるため、暴力はいけない。
怒りや悲しみといった感情が暴力に作用したことで、「暴力はいけない」という道徳的知識が生成されました。
信仰とは信じること全般を指します。人や物事などを信じることで知識を獲得します。信仰というと宗教的なニュアンスが含まれますが、これは宗教の信仰に限らずFaith(信用・信頼)を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
例.)数学の教科書に三角形の面積は「底辺×高さ÷2」で求められると書いてあったため、三角形の面積は「底辺×高さ÷2」で求められる。
教科書に信仰を持っている(教科書を信じている)ため、教科書から得た「底辺×高さ÷2」という知識を獲得できます。
記憶は知識や経験の保管庫を指します。記憶に保管されている過去の経験を元に、事象を分析・理解し、知識を生成します。記憶は過去に得た知識を思い出すために使うプロセスとする論もありますが、過去に得た知識を用いて新たな知識を生成できるという見方もあるためWOKに分類されています。
例.)円の面積は「半径×半径×π」で求められるため、円錐の体積は「円の面積×高さ」で求められる。
記憶から円の面積を思い出し、そこから体積は「面積×高さ」という記憶にある知識を組み合わせることで新たな知識を生成することができます。
知覚には視、触、嗅、味、聴などの五感から知識を得るプロセスを指します。知覚は五感だけに縛られず、熱、飢え、痛みなども含めることができます。知覚は能動的なWOKであり、知覚を通して体験やデータといった知識を得ることができます。
例.)アンモニアの臭いはツンとする臭いである。
知覚を通してアンモニアの臭いは「ツンとした臭い」であることがわかります。
直感とは瞬間的な気付きを指します。直感から得た知識は本能的な知識であるため、正当な根拠や理性を持たないことも多いです。直感は他のWOKと違い、単体で確立した知識を得ることができないという見方があります。この見方は直感から得た知識は理性などのWOKで正当化させる必要があることから生まれました。
例.)人の悪口は言ってはいけない。
過去の体験などから、本能的に「人の悪口を言ってはいけない」という知識を、直感を通して人は持ち合わせています。
想像とは物事をイメージすることで知識を得るプロセスを指します。「〇〇が起きたら〇〇が起きるかもしれない。」という予測的知識を生成する際に想像が使われることもあります。仮定を踏まえて上で、検証できない物事を想像して「検証」することで知識が得られます。想像は検証できない知識を正当化するためによく用いられます。
例.)量子重力理論を構築するにあたり、相対性理論と量子力学を両立させるために超弦理論が生成された。
学者は相対性理論と量子力学どちらも両立できる理論を構築するにあたって、目に見えない物質を想像した結果、超弦理論という知識が生成されました。
AOK(知識の領域)とは私たちが持つ知識をカテゴリー化した際の分野を指します。簡潔に説明すると「教科」を意味しています。TOKでは知識をカテゴリー化し、整理しやすくするためにAOKを用いて分析します。教科によって使うWOKが異なる場合があるので、TOKで分析するときは教科ごとで分析します。ここでは8つのAOKをご説明します
数学は想像通りのAOKです。数学は様々な公理を基に定理を考え出し、証明する知識の領域になっています。ここで気をつけたいのはAOKの数学には算数が含まれるということです。
自然科学は自然環境の因果関係を理解する知識の領域です。「Aが起きると、Bが起きる。」という自然の法則を解明するのが主です。自然科学はIBでいうGroup4(地学、化学、生物など)の科目にあたります。
人間科学は人間が構築した社会を理解する知識の領域です。人間科学の知識を得るには帰納法や演繹法が使われていることから手法(methodology)が「科学」とされています。人間科学はIBの科目でいうとGroup3(経済学、心理学など)に分類されます。
歴史は出来事同士の因果関係を解明する知識の領域です。ここで気をつけたいのは、歴史的事実を知識とするかです。史実を知識と位置付けることもできますが、史実を踏まえた上での論が一般的に知識と分類されます。
芸術は人間が作り出した創造を形にした知識の領域です。創造を形にしたものであれば芸術に分類されるので、美術、ダンス、音楽などGroup6の教科に限らずGroup1の文学も芸術になります。
倫理とは人が行動するにあたって、何が道徳的か理解する知識の領域です。また何が道徳的かに限らず、私たちは何を持って道徳的かについても研究する知識の領域という見方もあります。
宗教的知識の体系とは宗教での知識や考え方を指します。例えば、イスラム教の「豚肉を食べてはいけない。」という知識は宗教的知識の体系に該当します。
土着の知識の体系は特定の地で伝統(Custom)として受け継がれてきた知識を指します。例えば、日本の「麺をすすることで香りも楽しめるため、すする事が正しい。」という特有の知識が挙げられます。
TOKは基礎を固めるだけで点数を格段に上げる事ができるので、高得点を狙うためにはWOKとAOKの理解が必要です。WOKは「私たちが知識を得る方法」、AOKは「教科」と覚えるとわかりやすいと思います。TOKはWOKやAOKなどの基礎を固める事で、議論が整理されて伝わりやすくなります。TOKの基礎は点数に直結するので、基礎を理解することに徹底しましょう。
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