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国際バカロレア(IB)の日本語Aプログラムにおいて、internal oral(個人口述試験)は重要な評価要素であり、生徒の言語能力と分析スキルを測る機会となります。この試験では、文学作品と非文学作品を分析し、グローバルな問題と関連付けて10分間のプレゼンテーションを行うことが求められます。プレゼンテーションという性質上、作文よりも対策が難しく、実際にEDUBALでも「IOの対策をしてほしい」「何をすればいいかわからない」というお問い合わせを多数いただいております。
そこで本記事では、日本語Aの口述試験はどのように評価されるのか、そして高得点のために抑えたいポイントを詳しくお伝えします。
さらに、今回は日本語IOのテーマ例についても紹介するので、ぜひ最後までご一読ください!
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国際バカロレア(IB)の日本語Aプログラムにおける口述試験は、いくつかの評価基準に基づいて行われます。具体的には、以下のような基準が設けられています。
評価基準
1.知識と理解: 詩や作品に対する深い知識と理解が求められます。これは、選ばれた詩や作品への的確な参照を通じて示される必要があります。
2.作者の選択についての認識: 作者がどのようにしてテーマやメッセージを伝えているかを理解し、それを説明する能力が評価されます。
3.論評の構成とプレゼンテーション: プレゼンテーションの構成が論理的かつ明確であることが求められます。アイデアが一貫しており、説得力があることが重要です。
4.ディスカッションに使用された作品についての知識と理解: プレゼンテーション後のディスカッションで、作品に関する質問に対して的確に答える能力が評価されます。
5.ディスカッションでの問いかけに対する答え: 質疑応答の際に、質問に対して適切で深い回答を提供する能力が求められます。
6.言語: 言語の使用が明確で正確であることが求められます。語彙や文法の多様性も評価の対象です。
これらの基準に基づいて、口述試験は合計30点満点で評価されます。各基準は5点満点であり、全ての基準を満たすことで高得点を狙うことができます。逆に言えば、どれか一つが突出していても最大で5点となるため、全ての要素をバランスよくカバーすることが高得点につながると言えるでしょう。
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文学作品と非文学作品の選択は、この試験での成功を左右する重要な要素です。文学作品は指定作品リスト(PRL: prescribed reading list)から選ぶことが決められており、「文学形式、時代、場所」に関するルールがあります。一方、非文学作品の選択にはより柔軟性があります。これらの違いは、
文学作品は、美的、想像的、魅力的に言語を使用し、読み手を楽しませ、共感を呼び起こし、文化的アイデンティティーを表現することを意図しています。
非文学作品は、情報を与え、アイデアや出来事について報告し、分析し、議論することを目的とし、広告、意見コラム、エッセイ、電子テクストなどが含まれます。
作品を選択する際は、生徒自身の興味関心、グローバルな問題との関連性、そして共通するテーマに対して深い分析が可能かどうかを考慮することが重要です。
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グローバルイシューは、国境を越えて影響を及ぼす社会的、経済的、環境的な課題です。これには、気候変動、ジェンダーの平等、人権問題、経済格差、移民問題など、多岐にわたるテーマが含まれます。これらの問題は、世界中の人々が協力して解決に取り組む必要があります。
グローバルイシューは、どの問題を取っても複雑で多面的です。そのため、問題を具体的なサブイシューに分解することが重要です。これにより、各要素を詳細に分析しやすくなります。例えば、環境問題を分析する場合、気候変動、資源の枯渇、生物多様性の減少などに分け、それぞれの要因を個別に検討します。
分析においては、定量的データと定性的データの両方を活用することが重要です。定量的データは数値的な裏付けを提供し、客観的な分析を可能にします。一方で、定性的データは背景や文脈を理解するのに役立ちます。これらのデータを組み合わせることで、より包括的な理解が得られます。
グローバルな問題を分析する際には、ローカルな文脈も考慮する「グローカル」な視点が重要です。グローバルな影響とローカルな影響がどのように相互作用しているかを理解することで、より効果的な解決策を見出すことができます。この視点は、地域の問題がグローバルイシューとして浮上する際にも役立ちます。
問題を多角的に捉えることも重要です。社会的、経済的、文化的、政治的な側面から問題を分析することで、異なる視点を統合し、包括的な解決策を模索することができます。例えば、環境問題を分析する際には、経済的な影響や社会的な受容性も考慮に入れる必要があります
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ここまで、日本語IOを対策するにあたって、評価基準と照らして大切なポイントを紹介してきました。
ここからは、実際に筆者がIOで使ったテーマの例や、その他実際に使えるテーマをご紹介します。
今回ご紹介するのはあくまでテーマの一例ですので、こんな書き方があるんだな…という参考程度で読んでいただけると幸いです。
〈技術の進化と倫理〉
「私を離さないで」(翻訳作品)と「火の鳥」(漫画)を用いて、クローン人間に対する倫理がどのように描かれているか?をテーマにしました。
①生徒自身の興味関心:自分自身、情報科学などの分野に興味があった
②グローバルな問題との関連性:現在はAIなど急速に技術が進む中で、その倫理性は大きく議論されている
③そして共通するテーマに対して深い分析が可能かどうか:議論されているからこそ、様々な立場のリソースを活用して問題に向き合うことができる
といったように、自分のモチベーションと、実際に分析できるか?のバランスをよく見て作品を選ぶことが大切だと言えるでしょう。評価基準に「作者の選択に対する認識」がある以上、自分自身が進んで分析したいと思える作品でなければ、深く作者の立場を理解することは難しいと思います。
〈テーマ例〉
①異文化間の対立と理解
異なるコミュニティー間に生じる衝突がどのように不合理な社会を顕在化させるかを分析するテーマが挙げられます。
②ジェンダーの役割と社会的期待
作品を通じて、ジェンダーに関する社会的な期待や役割がどのように表現されているかを探求することができます。
③環境問題と人間の責任
環境保護の重要性や人間の責任について、文学作品と非文学作品を通じて議論するテーマです。
④移民とアイデンティティ
移民が個人やコミュニティのアイデンティティに与える影響について分析するテーマです。
テーマ選びは、自分の興味のあるグローバルイシューについて、「それぞれの作品で、どのように描かれているか?」を出発点とすると良いでしょう。例えば、環境問題であれば「沈黙の春」などの作品がありますが、本全体がそのイシューについて書かれたものである必要はありません。その問題が、作品の中でどのように表現されているか、作者のスタンスは何か、自分自身の理解を深めることで作者の立場を踏まえた上での自分の論評を構成できるようになれば、IOにおける評価は格段に上がるでしょう。
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